昨今の少年漫画での展開の一手法に、読者の期待を裏切る「逆転」を繰り返す方法がある。
「逆転」×nの手法は少年漫画(特にバトルもの)の見せ方としては非常に分かりやすく、その展開の緊張感と興奮は読者に一定の爽快感をもたらす。
しかし、それがあまりに度が過ぎると以下のような弊害が起こる。
バトルもので戦闘相手を倒した後でも、次ページには復活しそうな気配が残り、「これで終わり?それともまだ続くのか?」と読者にほどよい緊張感とは別の不安感が生じる。
小さい逆転→中くらいの逆転→最後の大逆転という構図ならば、メリハリのついた展開で読者は無理なくついていけるだろう。
これが最初から大逆転のオンパレードだと、いつ終わるとも知れぬ「逆転ループ」に読者は否応なしに巻き込まれ、不要な緊張を強いられることになる。
そうした展開手法は内容のマンネリ化が非常に早く進行してしまい、読者の年齢に伴う成長によって「飽き」の対象となりやすい。人はいつまでも「同じ」であることに耐えられないのだ。
上の理論から言えば読者層が低年齢に限られていて、常に人気のある読者年齢(少年)が一定で、実際は少年という括りの中で個人の入れ替わりが激しいのかもしれない。
そうすると、少年漫画で不特定多数の少年を対象としている以上、この手法は「個人には飽きられる」が、「少年には飽きられない」という結論が導かれ、この手法の是正を求めることは不可能ということになろう。